糖尿病の方が歯科治療を受けるときの注意点|受診前の準備とリスク対策

糖尿病の方が歯科治療を受けるときの注意点|受診前の準備とリスク対策

糖尿病をお持ちの方が歯科治療を受ける際には、健康な方とは異なるリスクがいくつかあります。

「感染しやすい」「傷が治りにくい」「血糖値が変動しやすい」など糖尿病特有のリスクは、抜歯や歯周病の処置だけでなく、日常的な歯石除去やクリーニングの場面でも考慮が必要です。

だからといって、糖尿病だから歯科治療が受けられないということではありません。

血糖コントロールの状態を把握し、内科の主治医と歯科医師が情報を共有した上で適切な対策を取れば、ほとんどの歯科治療は安全に受けることが可能です。

糖尿病の方が歯科を受診する前に知っておくべきリスク、受診前の準備、治療中・治療後に気をつけたいポイントについて具体的に解説します。

糖尿病の方が歯科治療で直面する4つのリスク

 

感染を起こしやすい

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、白血球の機能が低下して細菌への抵抗力が弱まります。

歯科治療では口腔内に傷をつける処置(抜歯、歯石除去、歯周外科など)が多いため、健康な方に比べて術後感染のリスクが高くなるでしょう。

抜歯後のドライソケット(抜歯窩の治癒不全)や歯周治療後の腫れ・痛みが長引くケースは、血糖コントロールが不良な患者に多い傾向が臨床的に見られます。

傷の治りが遅い

高血糖の状態では、末梢の血管に障害が起きやすくなります。

歯ぐきや口腔粘膜の修復には十分な血流が必要ですが、微小血管の障害によって組織への酸素や栄養の供給が低下し、傷の治癒が遅れる場合があるからです。

抜歯後の傷口がなかなか塞がらない、歯周治療後の歯ぐきの回復が遅いといった現象は、この血管障害に起因する可能性が高いでしょう。

血糖値が変動しやすい

歯科治療に伴う緊張やストレスは、交感神経を刺激してアドレナリンなどのストレスホルモンの分泌を促します。

ストレスホルモンは血糖値を上昇させる作用があるため、治療中に血糖値が急に上がるケースがあります。

一方、治療の緊張で食事を抜いて受診した場合や、長時間の治療で食事のタイミングがずれた場合には、低血糖を引き起こすリスクもあるでしょう。

低血糖は冷や汗、手の震え、動悸、意識障害といった症状を引き起こし、重篤な場合は意識消失に至る可能性もあるため、歯科医師にとっても患者さまにとっても注意が必要な状態です。

出血が止まりにくい場合がある

糖尿病の合併症として血管障害が進行している場合や、抗凝固薬・抗血小板薬を併用している場合には、歯科治療中の出血が止まりにくくなることがあります。

血糖値のコントロール状態だけでなく、服用中のすべての薬剤情報を歯科医師と共有しておくことが不可欠です。

糖尿病の方が歯科を受診する前に準備しておくこと

糖尿病であることを必ず伝える

初診時の問診票に糖尿病の情報を記入するのはもちろん、治療開始前に改めて口頭でも伝えるようにしましょう。

1型糖尿病か2型糖尿病か、インスリン注射をしているか経口薬のみか、直近のHbA1c値はいくつかといった具体的な情報が、歯科医師の治療判断に直結します。

HbA1c値と服用中の薬を把握しておく

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は過去1~2か月の平均血糖値を反映する指標で、歯科治療の可否やリスク判断において重要な基準です。

一般的に、HbA1cが7.0%未満であれば多くの歯科治療は安全に実施できると考えられていますが、抜歯などの外科的処置ではさらに慎重な判断が求められるでしょう。

お薬手帳は毎回の歯科受診時に持参するのが望ましく、内科で新しい薬に変わった場合はすぐに医師にも伝えてください。

インスリン療法を受けている方は、インスリンの種類と投与量、注射のタイミングも重要な情報です。

内科の主治医からの情報提供を依頼する

血糖コントロールの状態が不安定な場合や、外科的処置(抜歯、インプラント手術など)を受ける場合は、内科の主治医から歯科医師宛の診療情報提供書(紹介状)をもらっておくと治療がスムーズに進みます。

歯科医院側から内科主治医への照会状を出すこともありますが、患者さまご自身から主治医に「歯科治療を受ける予定がある」と伝えておくと、連携がより円滑になるでしょう。

日本歯周病学会のガイドラインでも、糖尿病のコントロール状態によっては内科主治医による全身状態に関する文書の取得が推奨されています。

治療当日に気をつけたいこと

食事を抜かずに受診する

歯科治療の前に食事を抜いてしまうと、低血糖のリスクが高まります。

糖尿病の薬は通常どおり服用し、食事もいつもと同じタイミングで摂った上で受診してください。

特にインスリン注射を行っている方が食事を抜いて受診すると、低血糖発作を起こす危険性が高くなるため要注意です。

糖分を持参しておく

万が一、治療中に低血糖の症状(冷や汗、手の震え、動悸、ふらつきなど)が現れた場合に備えて、ブドウ糖のタブレットや飴、ジュースなどを持参しておくと安心です。

低血糖の症状を感じたら、遠慮せずすぐに歯科医師やスタッフに申し出てください。治療を一時中断し、糖分を補給することで症状は通常速やかに改善します。

体調が優れないときは無理しない

血糖値が極端に高い日(随時血糖値200mg/dL以上など)、体調が悪い日、風邪や感染症にかかっている日は、歯科治療を延期するほうが安全な場合があるでしょう。

シックデイ(病気の日)は血糖値が不安定になりやすく、治療のストレスが加わるとさらにコントロールが乱れるリスクがあります。

抜歯や外科的処置を受ける場合の注意

糖尿病の方にとって特にリスクが高い歯科治療は、抜歯や歯周外科、インプラント手術といった外科的な処置です。

HbA1cと処置の可否

抜歯の安全性に関して明確な数値基準が確立されているわけではありません。

しかし、一般的にHbA1cが8.0%を超える場合は感染リスクや治癒遅延のリスクが高いと判断され、血糖コントロールを改善してからの処置が望ましいとされています。

緊急性がある場合(急性の感染や疼痛など)は、抗菌薬の術前投与を行いながら処置に踏み切るケースもありますが、いずれにしても内科主治医との連携が不可欠です。

術前・術後の抗菌薬投与

糖尿病の方は術後感染のリスクが高いため、処置の内容に応じて抗菌薬が処方される場合があります。

処方された抗菌薬は自己判断で中止せず、指示された日数・回数を守って最後まで服用することが重要です。

途中で服用をやめると、耐性菌の発生や感染の再燃につながりかねないため注意しましょう。

インプラント治療を検討する場合

糖尿病患者のインプラント治療については、血糖コントロールが良好(HbA1c 7.0%未満が目安)であれば適応となる場合がありますが、骨の治癒や感染リスクの面で慎重な判断が求められます。

インプラントの成功率は血糖コントロールの状態と相関するとの報告もあるため、インプラントを希望される場合はまず血糖管理の状態を安定させることが先決でしょう。

定期的な歯科受診が糖尿病管理にもつながる

糖尿病の方が歯科治療で注意すべきリスクを並べると不安に感じるかもしれませんが、裏を返せば「事前の準備と情報共有さえしっかり行えば、安全に治療を受けられる」ということです。

むしろ注意すべきは、リスクを恐れて歯科受診を避けてしまうことです。

歯周病を放置すれば慢性炎症が血糖コントロールを悪化させ、糖尿病の合併症リスクが高まるという悪循環に陥ります。

糖尿病診療ガイドライン2024(日本糖尿病学会)でも、糖尿病患者に対する歯周治療が推奨されており、定期的な歯科受診は糖尿病の総合的な管理の一環として位置づけられています。

糖尿病をお持ちの方の歯科治療は鈴木歯科クリニックへ

鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組んでいます。

当院では糖尿病をお持ちの方の歯周病治療にも対応しており、内科の主治医と連携した治療計画の立案や、血糖コントロール状態を考慮したスケジュール調整を行っております。

歯科衛生士9名の体制で、患者さま一人ひとりに合わせた歯周病管理とセルフケア指導を丁寧に実施しております。

通院が困難な方には訪問歯科診療にも対応しておりますので、ご自宅や施設での口腔ケアもお任せください。

「糖尿病があるけれど歯科治療を受けたい」「歯周病の治療中だけれど血糖値も気になる」という方は、お電話またはLINEでのご相談からお気軽にお問い合わせください。

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