子どもの虫歯予防はいつから?家庭と歯科医院で守る乳歯のケア
「毎日ちゃんと磨いているはずなのに、健診で虫歯が見つかった」「仕上げ磨きを嫌がって暴れるので、きちんと磨けている自信がない」など、お子さまの歯についての不安を抱える保護者の方は少なくないでしょう。
厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」によると、6歳児で虫歯がある割合は約30.8%まで低下しました(厚生労働省)。1993年の88.4%と比べれば劇的な改善ですが、それでも3人に1人近くが虫歯を経験している計算になります。虫歯は「減ってきた」とはいえ、決して過去の病気にはなっていません。
虫歯予防は、歯が生え始めた瞬間からスタートするもの。では具体的に、家庭でどのようなケアをすればよいのか、歯科医院ではどんな処置が受けられるのか、年齢ごとのポイントを交えながら解説していきます。
子どもの歯が虫歯になりやすい理由
虫歯予防の方法を知る前に、そもそもなぜ子どもの歯は虫歯になりやすいのかを理解しておくと、日々のケアへの意識が変わってきます。
乳歯のエナメル質は、永久歯の約半分の厚さしかありません。エナメル質とは歯の表面を覆う硬い組織ですが、乳歯のそれは薄くてやわらかく、虫歯菌が出す酸に溶かされやすい構造をしています。永久歯であれば進行に数年かかる虫歯が、乳歯ではわずか数か月で歯の内部まで達してしまうケースもあり、発見が遅れると神経にまで影響が及ぶことがあります。
加えて、子どもは食事や間食の回数が多い傾向にあります。口の中に食べ物が入るたびに虫歯菌が酸を産生し、歯の表面が溶かされる「脱灰」が起こります。唾液には溶けた歯の成分を元に戻す「再石灰化」の働きがありますが、間食のたびに脱灰が繰り返されると、再石灰化が追いつかず虫歯が進行してしまうのです。
もうひとつの要因は、子ども自身では十分な歯磨きが難しいという点です。手指の巧緻性が発達途上にあるため、歯ブラシの毛先を歯面に正確に当てることが難しく、磨き残しが出やすくなります。
さらに、虫歯菌(ミュータンス菌)の存在も見逃せません。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。虫歯菌は、保護者やまわりの大人から唾液を介してうつります。スプーンの共有や口移しで食べ物を与える行為が感染経路としてよく知られていますが、近年の研究では、食器の共有を完全に避けるよりも、保護者自身の口腔内を清潔に保つことのほうが虫歯予防においてより重要だと考えられるようになっています。保護者が虫歯や歯周病の治療を済ませ、定期的にクリーニングを受けることが、お子さまへの感染リスクを下げる最善策といえるでしょう。
家庭でできる虫歯予防の3つの柱
仕上げ磨きの正しいやり方と続けるコツ
仕上げ磨きは、保護者が行う虫歯予防の要です。目安として、小学校低学年(7~8歳)頃まで続けることが推奨されています。「もう自分で磨ける」と思う年齢でも、奥歯の噛み合わせ面や歯と歯の間は子ども自身では磨ききれないことが多いためです。
仕上げ磨きのポイントは、お子さまを仰向けに寝かせた状態(膝枕の姿勢)で行うことです。口の中がよく見え、歯ブラシの角度も調整しやすくなります。歯ブラシは毛先がやわらかめでヘッドが小さいものを選び、1本ずつ小刻みに動かすイメージで磨くと汚れが落ちやすいでしょう。
特に磨き残しが出やすいのは、上の前歯の裏側、奥歯の噛み合わせ面、そして歯と歯の間の3か所です。上の前歯の裏側は上唇小帯(上唇の裏にあるスジ状の組織)に歯ブラシが当たると痛みを感じるため、指で唇を軽く押さえながら磨くとスムーズに行えます。歯と歯の間は歯ブラシだけでは汚れが取りきれないことも多く、デンタルフロスの併用が効果的です。お子さま用の柄つきフロスであれば、保護者でも扱いやすいでしょう。
では、嫌がるお子さまにはどう対応すればよいか。1~2歳のイヤイヤ期は特に苦労する時期ですが、歌を歌いながら磨く、鏡を見せて自分の口の中を確認させる、お気に入りのぬいぐるみの歯を先に磨く「ごっこ遊び」を取り入れるなど、遊びの延長として歯磨きを位置づける工夫が有効です。押さえつけて無理やり磨くと歯磨き嫌いが定着してしまうリスクがあるため、短時間でも楽しい雰囲気の中で行うほうが長い目で見てプラスになります。
年齢別のフッ素入り歯磨き粉の使い方
フッ素(フッ化物)は、歯のエナメル質を強化し、虫歯菌の酸産生を抑え、初期虫歯の再石灰化を促す3つの作用を持つ、虫歯予防の心強い味方です。
2023年に日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会ほか4学会が発表した「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」では、年齢別のフッ素濃度と使用量が改定されました。歯の萌出から2歳までは1,000ppmの歯磨き粉を米粒大、3~5歳は1,000ppmをグリーンピース大、6歳以上は1,500ppmを歯ブラシ全体に広げる量(約2cm)が推奨されています。
ここで見落とされがちなのが、磨いた後のうがいの仕方です。フッ素は口の中に長く留まるほど効果を発揮しますが、何度もうがいをすると流れてしまいます。少量の水(10~15ml程度)で1回だけすすぐのが理想的で、特に就寝前の使用が効果的です。寝ている間は唾液の分泌が減るため、フッ素が歯面に長時間とどまりやすくなります。
「フッ素は体に悪いのでは」と心配される保護者の方もいらっしゃいますが、フッ素はお茶や海産物にも含まれる天然の元素であり、年齢に応じた濃度と使用量を守っていれば安全に使用できます。ぶくぶくうがいがまだ上手にできない1~2歳の時期は、ジェルタイプの歯磨き粉を選ぶと泡立ちが少なく、吐き出しが不十分でもフッ素の過剰摂取の心配がありません。
だらだら食べを防ぐ食習慣の見直し
虫歯予防において、歯磨きと同じくらい重要なのが食習慣です。「何を食べるか」だけでなく「いつ、どのように食べるか」が虫歯リスクを大きく左右します。
おやつの回数や時間を決めずに、だらだらと食べ続ける習慣は虫歯リスクを高める最大の要因のひとつです。先述のとおり、口に食べ物が入るたびに歯の表面では脱灰が起こります。時間を決めて食べ、食べ終わったら水やお茶で口をゆすぐ習慣をつけるだけでも、口腔内環境は改善に向かいます。
飲み物にも注意が必要です。ジュースやスポーツドリンクには多量の糖分が含まれており、水筒に入れて少しずつ飲み続ける習慣は、歯を常に酸にさらしている状態と変わりません。水分補給の基本は水かお茶。甘い飲み物は食事やおやつの時間に限定するのが賢い選択です。
虫歯予防に効果的なおやつの例としては、チーズ、ナッツ類、果物、野菜スティックなどが挙げられます。チーズに含まれるカゼインやリン酸カルシウムは歯の再石灰化を助ける働きを持っており、おやつとしても手軽に取り入れやすい食品です。一方、キャラメルやグミのように歯にくっつきやすい甘いお菓子は、口腔内に糖分が長時間残るため虫歯リスクが高まります。「甘いものを禁止する」のではなく、「歯にやさしいおやつを選ぶ習慣をつくる」ことが、無理なく続けられる虫歯予防の鍵になるでしょう。
歯科医院で受けられる予防処置
家庭でのケアに加えて、歯科医院での専門的な予防処置を組み合わせることで、虫歯予防の効果は格段に高まります。
フッ素塗布
歯科医院で行うフッ素塗布は、家庭用歯磨き粉よりもはるかに高濃度のフッ素(9,000ppm前後)を歯面に直接塗布する処置です。歯の表面に耐酸性の高いフルオロアパタイトの層を形成し、虫歯への抵抗力を高めます。
フッ素塗布は歯が生え始めた頃から受けることができ、3~6か月ごとの定期的な塗布が推奨されています。乳歯はもちろん、生えたばかりの永久歯はまだエナメル質が未成熟で虫歯になりやすいため、永久歯への生え変わり時期にもフッ素塗布は有効です。
歯科医院でのフッ素塗布と毎日のフッ素入り歯磨き粉の使用は、それぞれ異なるメカニズムで歯を守っています。歯科医院の高濃度フッ素は歯の表面に強固なバリアを形成し、家庭用の低濃度フッ素は日常的に歯面を浸すことで再石灰化を継続的に促進します。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることで虫歯予防の効果が最大化されるわけです。
シーラント
シーラント(小窩裂溝填塞)は、奥歯の噛み合わせ面にある複雑な溝を、歯科用の樹脂で埋めてしまう予防処置です。奥歯の溝は歯ブラシの毛先が届きにくく、食べかすが溜まりやすいため、虫歯がもっとも発生しやすい部位といえます。
シーラントは歯を削らずに行える処置であり、乳歯の奥歯や生えたばかりの6歳臼歯(第一大臼歯)に施すことが多いでしょう。6歳臼歯は乳歯の一番奥のさらに後ろに生えてくるため、保護者が生えてきたことに気づかないケースが少なくありません。完全に生えきるまでに1年以上かかることもあり、その間は歯肉に半分覆われた状態で歯ブラシが届きにくく、虫歯のリスクが非常に高い期間が続きます。
ただし、シーラントは永久的なものではなく、噛む力で欠けたり外れたりすることがあるため、定期検診で状態を確認し、必要に応じて再施行することが大切です。シーラントを入れたから安心、ではなく、日々のブラッシングとの両立が前提になります。
定期検診の頻度と受診のタイミング
最初の歯科検診は、乳歯が生え始める生後6~9か月頃に受けるのが理想的です。「まだ歯が1~2本しか生えていないのに歯医者に行くの?」と思われるかもしれませんが、この時期の受診には虫歯の早期チェックだけでなく、保護者への歯磨き指導や食生活のアドバイスを受けられるという大きなメリットがあります。
定期検診の頻度は3~4か月に1回が目安です。虫歯リスクの高いお子さまの場合は、より短い間隔での受診が勧められることもあります。小さいうちから「歯医者さんは怖いところ」ではなく「歯を守りに行くところ」という認識をつくっておくことが、生涯にわたる口腔健康の土台になります。
年齢ごとに注目したいタイミングも押さえておきましょう。1歳6か月児健診と3歳児健診は自治体が実施する無料の歯科健診であり、虫歯の有無だけでなく噛み合わせの異常も確認してもらえます。6歳前後では第一大臼歯(6歳臼歯)の萌出がはじまるため、シーラントの適用を相談するよい機会です。また、9~12歳頃には乳歯から永久歯への交換が進み、混合歯列期と呼ばれる歯並びの不安定な時期に入ります。歯と歯の間に段差ができやすく磨き残しが増えるため、仕上げ磨きの卒業時期も歯科医師と相談しながら判断すると安心でしょう。
乳歯の虫歯は放置してよいのか
「乳歯はどうせ抜けるのだから、虫歯になっても問題ないのでは」という考えは、実は大きな誤解です。
乳歯の虫歯を放置すると、その下で成長中の永久歯に悪影響を及ぼす可能性があります。虫歯が進行して乳歯の根の先まで感染が及ぶと、そのすぐ下にある永久歯の歯胚(歯のもと)がダメージを受け、永久歯のエナメル質に形成不全が起こることがあります。また、虫歯で乳歯を早期に失うと、隣の歯が傾いてスペースが狭くなり、永久歯がまっすぐ生えてこられなくなる「歯並びの乱れ」の原因にもなりかねません。
乳歯は永久歯への「バトンランナー」。その役目を全うさせることが、お子さまの将来の口腔環境を守る第一歩です。
乳歯にはもうひとつ重要な役割があります。それは、正しい発音を支え、噛む機能を通じて顎の発育を促すという役割です。虫歯の痛みで片側ばかりで噛む癖がつくと、顎の成長に左右差が生じ、将来の噛み合わせに影響を及ぼす可能性も指摘されています。「乳歯だから」と軽く考えず、異変を感じたら早めに歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
お子さまの虫歯予防は鈴木歯科クリニックにご相談ください
鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組み、子ども予防歯科にも力を入れています。当院では予防管理を重視し、「治療が必要になる前に守る」という方針のもと、お子さま一人ひとりに合わせた歯磨き指導やフッ素塗布、シーラントなどの予防処置をご提供しています。
「歯医者さんが怖い」というお子さまにも安心して通っていただけるよう、丁寧な説明とコミュニケーションを大切にしながら診療を行っております。お子さまの歯のことで気になることがあれば、お電話またはLINEでのご相談にて、お気軽にご連絡ください。
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