口腔機能発達不全症の原因とは?症状の見つけ方と早めの対応が大切な理由

口腔機能発達不全症の原因とは?症状の見つけ方と早めの対応が大切な理由

「うちの子、いつも口が開いている」「食べるのが遅くて、よく噛まないまま飲み込んでいる」「発音がはっきりしない」といった様子に思い当たることはないでしょうか。

口腔機能発達不全症とは、「食べる」「話す」「呼吸する」といったお口の機能が年齢相応に発達していない、あるいは正常に獲得できていない状態を指す、2018年に保険適用となった比較的新しい歯科の病名です(8020推進財団)。対象は18歳未満の子どもで、生まれつきの障がいや全身疾患が原因ではないにもかかわらず、お口の機能に遅れがみられるケースが該当します。

統計的には子どもの約3~5割にこうした傾向がみられるとされ、決して珍しい状態ではありません。ただし、放置すると歯並びや顎の成長、全身の発達にまで影響が及ぶ可能性があります。原因を正しく理解し、早めに対応することが大切です。

口腔機能発達不全症の主な原因

口腔機能発達不全症の原因はひとつではなく、生活習慣や環境的な要因と、お口の構造に関わる要因が複合的に絡み合っています。

口呼吸の習慣化

口呼吸は、口腔機能発達不全症のもっとも代表的な原因のひとつです。鼻呼吸が正常にできていれば、安静時に舌は上あごの天井部分(口蓋)に軽く触れた状態で収まっています。この舌の位置が、上あごの横幅を広げる刺激となり、歯が並ぶためのスペースを確保する役割を果たしています。

ところが口呼吸が習慣化すると、舌は下あごの底に落ちた「低位舌」の状態になります。上あごへの刺激が失われるため、顎の幅が狭くなり、歯が並びきれずに歯列不正(歯並びの乱れ)につながるリスクが高まります。さらに、口が常に開いた状態では唇の筋力が弱まり、口唇閉鎖不全症(いわゆる「お口ポカン」)を招きます。小児の約30%に口唇閉鎖不全がみられるとの報告もあり(デンタルプラザ)、成人になっても改善しないケースが少なくありません。

口呼吸の原因としては、アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大などの耳鼻科的な問題が背景にあることも多いため、歯科だけでなく耳鼻咽喉科との連携が必要になる場合があります。

軟らかい食事への偏り

現代の食生活では、子どもが好んで食べるメニューの多くが軟らかく、あまり噛まなくても飲み込めるものに偏りがちです。パン、麺類、ハンバーグ、カレーライスなど、咀嚼回数が少なくて済む食事が中心になると、噛むための筋肉(咬筋や側頭筋)や舌の筋力が十分に発達しにくくなります。

噛む力が弱いと、食べ物を細かく砕いて唾液と混ぜ合わせる「食塊形成」がうまくいかず、丸飲みや偏咀嚼(片側だけで噛む癖)につながります。噛む刺激の不足は顎骨の成長にも影響を与え、歯が正しく並ぶためのスペースが不足する一因になると考えられています。

見落とされがちなのは、離乳期の食形態の移行にも注意が必要だという点です。月齢に合わないまま軟らかい食事を長く続けていると、口腔機能の発達の「窓」を逃してしまうことがあります。離乳食から幼児食への移行期に、歯の萌出状態に合わせて食材の硬さや大きさを段階的にステップアップさせることが、咀嚼機能の獲得にとって重要な意味を持ちます。

口腔習癖(指しゃぶり・爪噛み・舌癖など)

指しゃぶりは2~3歳頃までは発達上の正常な行動ですが、4歳を過ぎても続いていると歯列や噛み合わせへの影響が出始めます。上の前歯が前方に押し出される「開咬」や、上顎の歯列が狭くなる変形が生じやすく、咀嚼機能や発音にも支障をきたす場合があります。

爪を噛む癖や唇を噛む癖、舌で前歯を押す「舌突出癖」も、同様のメカニズムで口腔機能の発達に悪影響を及ぼします。こうした口腔習癖は本人に自覚がないことが多く、保護者や歯科医師が気づいて早期に対処することが重要です。

舌小帯の問題

舌小帯短縮症(舌の裏側にあるスジが短い、または付着位置が前方にある状態)は、舌の運動範囲を制限し、哺乳や咀嚼、嚥下、発音に影響を及ぼす先天的な要因です。舌を上あごに十分に持ち上げられないため、「ラ行」や「タ行」の発音が不明瞭になったり、食べ物をうまく送り込めずに丸飲みしたりする傾向が見られます。

舌小帯短縮症の程度によっては、外科的な処置(舌小帯切除術)が検討されることもありますが、軽度の場合は舌のトレーニングで機能改善が期待できるケースもあります。

見逃しやすい症状のサイン

口腔機能発達不全症は痛みを伴わないため、保護者も本人も「おかしい」と気づきにくいのが特徴です。日常の中で以下のような様子が見られたら、一度歯科医院での確認を検討してみてください。

食事に関しては、「食べるのにいつも時間がかかる」「硬いものを嫌がる」「口の中に食べ物を溜め込んでなかなか飲み込まない」「くちゃくちゃと音を立てて食べる」といった様子がサインになりえます。呼吸面では、「安静時に口が開いている」「睡眠中のいびき」「寝ている間に口が渇いている」などが気づきのポイントです。発音面では、「サ行やラ行が不明瞭」「年齢に対して赤ちゃんことばが残っている」といった傾向が挙げられます。

ここで重要なのは、これらの症状がひとつだけ当てはまるからといって、すぐに口腔機能発達不全症と断定されるわけではないという点です。歯科医院では日本歯科医学会が策定したチェックリストに基づいて、「食べる機能」「話す機能」「その他の機能」の複数項目を評価し、総合的に診断を行います。

学校の歯科健診で「口腔機能発達不全」の項目にチェックが入るケースも増えてきました。健診結果の用紙にこの記載があった場合は、「病気が見つかった」と深刻に捉えすぎる必要はありませんが、専門的な評価と早めの対応が望ましい状態であることは確かです。歯科医院を受診して、具体的な状態と改善の方向性を確認してもらうことをおすすめします。

放置するとどうなるのか

口腔機能発達不全症を放置した場合、もっとも懸念されるのは歯並びと顎の発育への影響です。口呼吸や低位舌が続けば上顎の成長が阻害され、叢生(歯が重なり合う状態)や上顎前突(出っ歯)のリスクが高まります。

歯並びの問題が顕在化してから矯正治療を行うことはもちろん可能ですが、口腔機能の問題が解決されないまま歯だけを並べても、舌や唇の癖が残っていれば後戻りしやすいという現実があります。つまり、根本原因である口腔機能の発達を整えることが、歯並びの長期安定にとっても不可欠なのです。

また、口呼吸の習慣化は姿勢の悪化(猫背、ストレートネック)とも関連しているとされ、成長期の子どもの全身的な発達にも波及する可能性があります。

さらに注目すべきは、小児期に正常な口腔機能を獲得できないまま成人期を迎えると、将来的な「オーラルフレイル」(口腔機能の虚弱)につながるリスクが高まるという視点です。お口の機能は18歳頃をピークとし、その後は加齢とともに低下していきます。ピークの高さがそもそも低ければ、高齢期に口腔機能低下症へ移行する時期が早まるおそれがあります。子どもの口腔機能を育てることは、数十年先の健康寿命にまでかかわる問題なのです。

歯科医院で受けられる対応

口腔機能発達不全症と診断された場合、2018年以降は保険適用で管理・指導を受けることが可能です。対象は18歳未満の子どもで、歯科医院でのチェックリスト評価に基づいて診断されます。

MFT(口腔筋機能療法)によるトレーニング

MFT(Myofunctional Therapy)は、舌・唇・頬などお口まわりの筋肉のバランスを整えるトレーニングです。舌を正しい位置(上あごの天井)に置く練習、唇を閉じる力を鍛えるボタントレーニング、正しい飲み込み方を身につける嚥下訓練などが含まれます。

歯科医院で指導を受け、家庭で日々のトレーニングを継続する形が基本です。その子のお口の状態によって、推奨する食べ方やトレーニング方法は異なります。効果を実感するまでには数か月単位の継続が必要になりますが、特に成長期の子どもは変化が出やすく、習慣化すれば自然と正しい機能が身についていく可能性が高いでしょう。

なお、口腔機能発達不全症の管理は保険適用で行えるため、経済的な負担を心配して受診を躊躇する必要はありません。歯科医院では管理計画書を作成し、定期的に状態を再評価しながら指導を進めていきます。

家庭でできること

歯科医院での専門的な指導に加えて、日常生活の中でもお口の機能を育てる工夫ができます。食事の際に「よく噛んでから飲み込もうね」と声をかけ、噛む回数を意識させることは基本的ですが効果的な取り組みです。

食材も工夫してみましょう。煮物の野菜をやや大きめに切る、きんぴらごぼうや切干大根のような歯ごたえのある副菜を取り入れるなど、咀嚼の回数が自然に増える食事内容にすることで、噛む筋肉の発達を促せます。

また、風船を膨らませる遊びやシャボン玉は、口唇の筋力と呼吸のコントロールを鍛える手軽なトレーニングになります。「訓練」と構えるよりも、遊びの中に取り入れるほうがお子さまも楽しく続けやすいでしょう。

お子さまの口腔機能が気になったら鈴木歯科クリニックへ

鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組み、子ども予防歯科にも力を入れています。お子さまのお口の機能に関するご相談も承っておりますので、「口がいつも開いている」「食べるのが遅い」「発音が気になる」といった心当たりがあれば、定期検診の際にお気軽にお声がけください。

口腔機能発達不全症は、早い段階で気づいて対応すれば改善が見込める状態です。お子さまの成長を支える大切な「お口の力」を、一緒に育てていきましょう。お電話またはLINEでのご相談にて、お気軽にご連絡ください。

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