歯周病治療で糖尿病は改善する?血糖値への効果とケアの進め方
「歯周病を治療すると血糖値が下がる」という話を内科の主治医や歯科医師から聞いたことがある方もいるかもしれません。
歯周病と糖尿病が互いに悪影響を及ぼし合う関係にあることは広く知られるようになりましたが、では実際に歯周病を治療することで糖尿病はどの程度改善するのか。
糖尿病診療ガイドライン2024(日本糖尿病学会)では、2型糖尿病患者に対する歯周治療によってHbA1cが約0.5%改善する可能性があると報告されており、歯周治療は糖尿病管理の一環として推奨されています。
一方で、歯周治療だけで糖尿病が劇的に改善するわけではなく、食事療法や運動療法、薬物療法との併用が前提である点も理解しておく必要があるでしょう。
歯周病治療がなぜ血糖コントロールの改善につながるのか、具体的にどんな治療が行われるのか、そして治療効果を最大化するために患者さまができることについて解説します。
歯周病治療が血糖値を改善させる仕組み
歯周病は歯ぐきの慢性的な炎症疾患です。
炎症が続くと、歯周組織からTNF-α(腫瘍壊死因子)やIL-6(インターロイキン6)といった炎症性サイトカインが血液中に放出されます。
TNF-αはインスリンの働きを妨げる「インスリン抵抗性」を引き起こす物質として知られており、歯周病が重度であるほど血糖コントロールが難しくなる要因のひとつです。
歯周病治療によって歯周ポケット内の細菌や歯石を除去し、歯ぐきの炎症を抑えると、TNF-αの産生が減少します。
炎症性サイトカインの減少はインスリン抵抗性の改善につながり、結果としてインスリンが本来の役割を果たしやすくなることで血糖値が下がる方向に作用します。
これが歯周病治療による血糖改善の基本的なメカニズムです。
重度の歯周病を持つ方の歯周ポケット内部で起きている炎症の面積は、合計すると手のひらほどの広さに相当するといわれています。
体のどこかにこれだけの面積の慢性炎症があれば、全身の代謝に影響が出ることは想像に難くないでしょう。
HbA1cの改善幅はどの程度か
メタアナリシスによる報告
複数の臨床研究を統合的に分析したメタアナリシスでは、歯周治療によって得られるHbA1cの改善幅は約0.4~0.5%と報告されています。
0.5%という数字を小さいと感じる方もいるかもしれませんが、糖尿病の経口薬1種類で得られるHbA1c改善幅がおおむね0.5~1.0%であることを考えると、歯周治療の効果は薬1剤に匹敵する水準ともいえるでしょう。
2024年に大阪大学の研究グループが発表した論文(Diabetes, Obesity and Metabolism誌)では、2型糖尿病患者に対する糖尿病集中治療のみで歯周病の炎症指標(PISA)も改善したことが報告されており、糖尿病治療と歯周病治療の双方向の改善効果が裏付けられつつあります。
すべての研究が一致しているわけではない
一方で、2013年にJAMA誌に発表されたEngebretsonらの大規模RCT(514名対象)では、非外科的歯周治療を行った群と行わなかった群の間でHbA1cの有意な差は認められませんでした。
歯周治療「だけ」で血糖値が確実に下がるとは言い切れないのが、現時点でのエビデンスの限界でしょう。
ただし、日本糖尿病学会と日本歯周病学会はいずれも糖尿病患者への歯周治療を推奨しており、「歯周治療は糖尿病の総合的な管理の一部として位置づけるべき」という見解は両学会で一致しています。
歯周治療単独の効果には限界があるものの、食事療法・運動療法・薬物療法と組み合わせることで血糖改善への相乗効果が期待できるという考え方が現在の主流です。
歯科医院で行う歯周病治療の具体的な内容
ブラッシング指導(プラークコントロール)
歯周病治療の出発点は、患者さま自身によるプラークコントロールの確立です。
歯科衛生士が患者さまの歯並びや磨き癖に合わせて、歯ブラシの当て方、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方を指導します。
歯周病菌のかたまりであるプラーク(歯垢)を毎日確実に除去する習慣がなければ、いくら歯科医院で治療を受けても炎症は再発するでしょう。
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
歯の表面や歯周ポケットの中に付着した歯石とプラークを、専用の器具で機械的に除去する処置です。
歯石は歯ブラシでは取り除けない硬い沈着物であり、表面がざらざらしているため細菌が付着しやすい。歯石を除去してポケット内の環境を清潔にすることが、歯周病治療の中核といえるでしょう。
糖尿病患者の歯石除去においては、血糖コントロールの状態によって出血しやすかったり、傷の治りが遅い場合があるため、HbA1c値を事前に確認した上で処置を進めることが重要です。
歯周外科治療
SRPだけでは歯周ポケットの深さが改善しない場合、歯ぐきを切開して直視下で歯石や感染組織を除去する歯周外科手術が検討されます。
ただし、糖尿病患者の場合は感染リスクや治癒の遅延を考慮する必要があるため、血糖コントロールが良好(HbA1c 7.0%未満が目安)であることが手術の前提条件になるケースが多いでしょう。
メンテナンス(SPT)
歯周病治療が一区切りついた後も、定期的なメンテナンスを継続することが再発防止の鍵です。
SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)では、歯周ポケットの深さや出血の有無を検査し、必要に応じて歯石の除去やプラークコントロールの再指導を行います。
日本歯周病学会のガイドラインでは、糖尿病患者は血糖コントロールの状態によって月1回のメンテナンスが推奨される場合もあるとされています。
一般的な3~6か月間隔よりも短いサイクルでの管理が、糖尿病患者の歯周病をコントロールする上では有効でしょう。
治療効果を高めるために患者さまができること
歯科と内科の「二人の主治医」を持つ
歯周病治療で得られる血糖改善の効果を最大化するためには、歯科医師と内科の主治医が連携し、双方の治療を並行して進めることが重要です。
歯科で歯周病の炎症を抑えながら、内科で食事療法・運動療法・薬物療法を最適化します。
「お口の治療」と「全身の治療」を別々に行うのではなく、ひとつのチームとして管理する意識が治療効果を高めるでしょう。
セルフケアの質を上げる
歯科医院でのプロフェッショナルケアは月に1~数回ですが、セルフケアは毎日行うものです。
歯ブラシだけでなくデンタルフロスと歯間ブラシを併用し、磨き残しを最小限にすることが慢性炎症の抑制に直結します。
糖尿病患者は唾液の分泌が減りやすい傾向があるため、洗口液の活用や十分な水分摂取も口腔環境の維持に役立つでしょう。
禁煙する
喫煙は歯周病と糖尿病の両方を悪化させる共通のリスク因子です。
喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の治療効果が低いことが多くの研究で示されており、禁煙は歯周病治療と糖尿病管理の双方にとって最も費用対効果の高い介入のひとつといえるでしょう。
歯周病治療と糖尿病の管理は鈴木歯科クリニックへ
鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組んでいます。
当院では歯周病治療に力を入れており、歯科衛生士9名の体制で、患者さま一人ひとりのお口の状態に応じたブラッシング指導、スケーリング、SRP、メンテナンスを丁寧に実施しております。
糖尿病をお持ちの方に対しては、内科の主治医と連携した治療計画の立案にも対応しており、HbA1c値や服用中の薬を考慮した上で治療を進めています。
「HbA1cが高いと指摘された」「歯ぐきの腫れや出血が気になる」という方は、お電話またはLINEでのご相談からお気軽にお問い合わせください。通院が困難な方には訪問歯科診療での対応も可能です。
山形で歯医者・歯科医院をお探しの方は鈴木歯科クリニックにご相談ください。
虫歯治療・歯周病治療・矯正歯科・小児矯正歯科・審美歯科・予防歯科・インプラント・入れ歯などの治療に対応しております。 マイクロスコープ、歯科用CTレントゲンを完備しておりますので、より精密な治療が可能です。
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