舌の力が弱くなったと感じたらどうすればいい?原因とお口の機能を保つ対策
この記事の監修者

鈴木 喜之(すずき よしゆき)
医療法人社団 鈴木歯科クリニック 理事長・院長
昭和大学歯学部を卒業後、同大学第2歯科補綴学教室(全部床義歯学)に入局。その後、平成8年に山形市にて鈴木歯科クリニックを開院。
「山形という地方でも良質な歯科医療を提供したい」という想いのもと、その場しのぎの治療ではなく「長く健康でいられるための治療」を理念として診療を行う。予防管理をはじめ、マイクロスコープを用いた精密治療やインプラントなど、口腔内全体の健康を長期的にサポートする包括的な歯科診療を提供している。
最近むせやすくなった、滑舌が悪くなった気がする、食事のときに食べ物をうまく飲み込めないといった変化の背景に、舌の力の低下が隠れている場合があります。舌は食べる・話す・飲み込むという生きるうえで欠かせない動作を支えているにもかかわらず、その衰えは静かに進むため見過ごされがちでしょう。
舌の力は「舌圧」とも呼ばれ、加齢や生活習慣によって少しずつ低下していきます。ところが、腕や脚の筋力低下と違って自分では気づきにくく、気づいたときにはかなり衰えていたという例も少なくありません。
舌の力が弱くなる原因、放置するとどうなるのか、そして自宅でできるチェックとトレーニングについて、歯科の視点から整理して解説していきます。
舌の力が弱くなるとはどういう状態か
舌は筋肉のかたまりであり、食べ物を歯の上に運んだり、飲み込むときに喉へ送り込んだりする役割を担っています。この舌が上あごを押す力こそ「舌圧」と呼ばれるものでしょう。舌圧が十分にあると、食べ物をスムーズに飲み込め、はっきりとした発音もできるのです。
ところが、舌の筋力が低下すると、舌が本来あるべき上あごの位置に保てなくなり、下がった状態になりやすくなります。安静時に舌が下の歯の裏や口の底に落ちている状態は「低位舌(ていいぜつ)」と呼ばれ、口呼吸や滑舌の低下、歯並びへの影響など、さまざまな不調の入口になりかねません。
舌の力が弱くなったサインは、日常の小さな変化として現れます。例えば、汁物でむせることが増えた、早口で話すと舌がもつれる、サ行やタ行が発音しづらくなった、舌の縁に歯の跡がつくようになったといった変化に心当たりがあるなら、舌の力の低下を疑ってみる価値があるでしょう。
舌の力が弱くなる主な原因
加齢による筋力の低下
舌も筋肉である以上、加齢とともに少しずつ衰えていきます。全身の筋肉量が年齢を重ねるごとに減っていくのと同じように、舌の筋力も低下していくのは自然な変化でしょう。特に60代以降は、噛む力や飲み込む力とあわせて舌圧も低下しやすくなると言われています。
ただし、加齢だけが原因とは限りません。年齢が若くても、生活習慣によって舌の力が弱まっている方は意外と多く見られます。
口呼吸の習慣
鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、舌が正しい位置に保たれにくくなります。口を開けている時間が長いほど舌は下がりやすく、低位舌につながりやすくなるでしょう。口呼吸は舌の筋力低下の原因にも結果にもなり、悪循環を生む点に注意が必要でしょう。
やわらかいものばかり食べる食生活
噛みごたえの少ないやわらかい食事ばかり続けていると、舌や口周りの筋肉を使う機会が減ってしまいます。筋肉は使わなければ衰えるという原則は、舌にも当てはまるでしょう。現代の食生活は調理技術の発達でやわらかい食品が増えており、知らず知らずのうちに舌を使わない生活になっている方も少なくないでしょう。
会話の減少
人と話す機会が減ると、舌を動かす頻度そのものが下がります。一人暮らしの方や、在宅で過ごす時間が長い方は、舌や口周りの筋肉を使う場面が限られがちでしょう。コミュニケーションの量が舌の機能維持に関わっているという視点は、見落とされやすいかもしれません。
舌の力が弱いまま放置するとどうなるか
舌の力の低下を放置すると、お口だけでなく全身の健康にも影響が及ぶ恐れがあります。まず心配されるのが、飲み込む力の低下でしょう。舌は食べ物を喉に送り込む重要な役割を担っているため、舌圧が下がると飲み込みにくくなり、むせやすくなります。
むせは単に不快なだけでなく、食べ物や唾液が誤って気管に入る「誤嚥」のリスクを高めます。高齢の方では誤嚥が肺炎につながる場合もあり、軽視できない問題でしょう。お口の機能がわずかに低下した状態は「オーラルフレイル」と呼ばれ、放置すると低栄養や全身の衰えへとつながっていくと指摘されています。
加えて、舌の力が弱いと入れ歯が安定しにくくなる側面もあります。入れ歯は舌や頬の筋肉とのバランスで支えられているため、舌の力が低下すると入れ歯が動きやすくなり、しっかり噛めなくなる原因にもなりかねません。発音の不明瞭さや滑舌の低下も、舌圧低下が引き起こす身近な変化と言えるでしょう。
自宅でできる舌の力のチェックと対策
簡単なセルフチェック
舌の力が弱くなっているかどうかは、いくつかの方法でおおまかに確認できます。まず、安静にしているときの舌の位置を意識してみてください。舌の先が上の前歯の少し後ろのふくらみ(スポットと呼ばれる部分)に触れ、舌全体が上あごに吸い付いている状態が正常な位置です。
舌が下の歯の裏に落ちていたり、どこにも触れずだらんとしていたりする場合は、低位舌の可能性があります。また、舌を思い切り前に突き出したときに、舌の先が尖らず丸くなってしまう、あるいは左右に素早く動かせないといった場合も、舌の筋力が低下しているサインかもしれません。
舌を鍛えるトレーニング
舌の力は、適切なトレーニングによって取り戻せる可能性があります。代表的なものとして、口を大きく動かしながら「あー・いー・うー・べー」と発音する「あいうべ体操」が挙げられるでしょう。最後の「べー」で舌を思い切り前に突き出すことで、舌の筋肉を効果的に動かせるのです。
そのほか、舌で左右の頬の内側を内側から押す運動、舌を上あごに強く押し付けて数秒キープする運動なども、手軽に取り組める方法でしょう。いずれも一度にたくさん行うより、毎日少しずつ続けることが大切です。無理のない範囲で習慣にしていくとよいでしょう。
口呼吸の改善と食生活の見直し
トレーニングと並行して、口呼吸を鼻呼吸に切り替える意識や、噛みごたえのある食材を食事に取り入れる工夫も効果的です。よく噛んで食べることは、舌や口周りの筋肉を自然に使う良い機会になるでしょう。日常の食事のなかで舌を使う場面を増やしていくことが、遠回りのようで着実な対策につながるでしょう。
舌や口の力が気になる方は鈴木歯科クリニックへ
鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組んでまいりました。院長は昭和大学歯学部を卒業後、同大学の第2歯科補綴学教室(全部床義歯学)で研鑽を積んだ入れ歯治療の専門家であり、舌や口周りの機能に関わるお悩みにも幅広く対応しております。
「最近むせやすい」「滑舌が気になる」「入れ歯が安定しない」といった症状の背景には、舌の力の低下が関わっている場合があるでしょう。当院では患者さま一人ひとりのお口の状態を丁寧に確認し、口腔機能の維持や改善に向けたアドバイスをご提案いたします。舌の力の低下は早めに気づいて対策を始めるほど、改善が期待しやすくなるでしょう。
通院が難しい方には訪問歯科診療での対応も可能ですので、ご高齢のご家族のお口のことでお困りの方もご相談いただけます。お口や舌の力が気になる方は、お電話またはLINEでのご相談からお気軽にお問い合わせください。
山形で歯医者・歯科医院をお探しの方は鈴木歯科クリニックにご相談ください。
虫歯治療・歯周病治療・矯正歯科・小児矯正歯科・審美歯科・予防歯科・インプラント・入れ歯などの治療に対応しております。 マイクロスコープ、歯科用CTレントゲンを完備しておりますので、より精密な治療が可能です。
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