オーラルフレイルの初期症状とは?見逃しやすいサインと進行の段階

オーラルフレイルの初期症状とは?見逃しやすいサインと進行の段階

この記事の監修者

鈴木 喜之

鈴木 喜之(すずき よしゆき)

医療法人社団 鈴木歯科クリニック 理事長・院長

昭和大学歯学部を卒業後、同大学第2歯科補綴学教室(全部床義歯学)に入局。その後、平成8年に山形市にて鈴木歯科クリニックを開院。

「山形という地方でも良質な歯科医療を提供したい」という想いのもと、その場しのぎの治療ではなく「長く健康でいられるための治療」を理念として診療を行う。予防管理をはじめ、マイクロスコープを用いた精密治療やインプラントなど、口腔内全体の健康を長期的にサポートする包括的な歯科診療を提供している。

「滑舌が少し悪くなった」「かたいものを避けるようになった」「食事中にときどきむせる」といった小さな変化は、年齢のせいと見過ごされがちです。しかし、その背景にお口の機能の衰え「オーラルフレイル」が隠れている場合もあるでしょう。

オーラルフレイルとは、噛む・飲み込む・話すといったお口の働きがわずかに衰えはじめた状態を指します。やっかいなのは、初期症状がとても小さく、本人も周囲も気づきにくいという点でしょう。そして見過ごされたまま進行すると、食べる力や全身の健康にまで影響が及んでいきます。

ここで知っておきたいのは、オーラルフレイルは早い段階で気づけば、適切なケアで元の状態に戻せる可能性が高いという事実です。だからこそ、最初のサインを見逃さないことに大きな意味があるのでしょう。オーラルフレイルの初期症状と進行の段階、放置した場合のリスク、そして今日から始められる対策について、歯科の視点から解説していきます。

オーラルフレイルとは何か

オーラルフレイルは「オーラル(口腔)」と「フレイル(虚弱)」を組み合わせた言葉で、お口の機能がわずかに低下しはじめた状態を表します。健康な状態と、噛む力や飲み込む力が明らかに低下した「口腔機能低下症」との中間に位置づけられるのが特徴です。

ここで押さえておきたいのは、オーラルフレイルが全身の衰え(フレイル)の入口になるという点でしょう。お口の機能が落ちると食べられるものが限られ、栄養が偏り、全身の筋力低下へとつながっていきます。つまり、お口の小さな衰えは、やがて全身の健康を左右する問題に発展しかねません。逆に言えば、お口の段階で食い止められれば、全身の健康を守る大きな一歩になるのです。

オーラルフレイルが注目されている理由は、まさにこの「早期発見・早期対応で改善が見込める」という点にあります。多くの病気が進行すると元に戻りにくいのに対し、オーラルフレイルは初期であれば回復が期待できる、数少ない段階だと考えられているのでしょう。

見逃しやすいオーラルフレイルの初期症状

オーラルフレイルの初期症状は、どれも「年齢のせい」で済ませてしまいがちなものばかりでしょう。だからこそ、ひとつひとつのサインを意識的に確認することが大切になります。

食事に関する初期サイン

最初に表れやすいのが、食事の場面での小さな変化です。かたいものが噛みにくくなって自然と避けるようになった、食事中にお茶や汁物でむせることが増えた、食べこぼしが多くなった、食事に以前より時間がかかるようになったなど、思い当たる点はないでしょうか。こうした変化は、噛む力や飲み込む力がわずかに低下しはじめたサインかもしれません。

とくに見逃せないのが「むせ」でしょう。むせは、食べ物や飲み物が誤って気管に入りかけたときに起こる防御反応であり、飲み込む機能が衰えはじめている合図といえます。「最近よくむせるようになった」と感じたら、それは体が発している早めの警告だと受け止めてよいでしょう。

話し方に関する初期サイン

発音や会話の変化も、初期症状として表れやすいものです。滑舌が悪くなった、サ行やタ行が言いにくくなった、早口で話すと舌がもつれるといった変化はないでしょうか。発音には舌や唇の細やかな動きが欠かせないため、これらの筋力が衰えると、まず言葉の明瞭さに影響が出てきます。

家族から「聞き返されることが増えた」と言われたり、自分でも電話で聞き返される回数が増えたと感じたりする場合は、お口周りの機能が少しずつ低下しているのかもしれません。

口の中の状態に関する初期サイン

口の中が乾きやすくなった、口の中がねばつく、口臭が気になるようになったといった変化も、見逃せないサインのひとつでしょう。唾液の分泌が減ると、食べ物が飲み込みにくくなるだけでなく、虫歯や歯周病、口臭のリスクも高まります。お口の乾きは、オーラルフレイルの初期に現れやすい変化のひとつでしょう。

オーラルフレイルが進行する4つの段階

オーラルフレイルは、ある日突然起こるものではありません。生活の変化を起点に、段階を追って静かに進んでいきます。それぞれの段階を知っておくと、自分が今どのあたりにいるのかを把握しやすくなるでしょう。

最初の段階は、お口への関心が薄れることから始まります。歯医者から足が遠のいたり、歯磨きが雑になったりと、お口の健康への意識が下がっていく時期です。この段階では症状らしい症状はほとんどなく、ほぼ自覚されません。

次の段階で、ようやく小さな衰えが表面化します。滑舌の低下、わずかなむせ、かたいものの食べにくさなど、前述した初期症状が現れはじめるのがこの時期でしょう。多くの方が「年のせい」と片付けてしまうのも、ちょうどこのあたりです。

さらに進むと、噛む力や舌の力、飲み込む力といったお口の機能が、検査でも確認できるほど明らかに低下してきます。この段階は「口腔機能低下症」と呼ばれ、歯科での専門的な対応が必要になる時期でしょう。そして最終段階では、食べる機能そのものが大きく損なわれ、低栄養や全身のフレイルへとつながっていきます。

重要なのは、早い段階であるほど回復が見込めるという点です。最初の二つの段階で気づいて手を打てば、多くの場合はセルフケアと歯科でのサポートによって機能の維持や改善が期待できます。

オーラルフレイルを放置するとどうなるか

オーラルフレイルを「年のせい」と放置すると、お口の問題は全身へと連鎖していきます。噛む力や飲み込む力が落ちると、やわらかいものや飲み込みやすいものばかりを選ぶようになり、気づかないうちに栄養が偏っていくでしょう。

栄養の偏りは、体重が減っていなくても栄養が足りない「低栄養」を招きます。低栄養になると全身の筋肉量が減り、活動量が落ち、さらに食欲が低下するという悪循環に陥りかねません。お口の衰えが全身のフレイル、つまり加齢に伴う心身の活力低下を加速させると言われるのは、こうした連鎖があるためでしょう。

さらに見過ごせないのが、誤嚥のリスクです。飲み込む力が低下すると、食べ物や唾液が誤って気管に入りやすくなり、ご高齢の方では誤嚥性肺炎につながる場合もあります。会話のしづらさから人と話すのがおっくうになり、外出や交流が減ることで、気持ちの張りまで失われてしまうことも考えられるでしょう。お口の小さな衰えは、想像以上に生活全体と結びついているのです。

初期症状に気づいたら今日から始めたい対策

オーラルフレイルの初期症状に心当たりがあっても、悲観する必要はありません。お口の筋肉はいくつになっても鍛えられ、早い段階での対策ほど効果が期待できます。

まず取り入れたいのが、お口を動かす体操でしょう。口を大きく動かして「あー・いー・うー・べー」と発音する「あいうべ体操」や、「パ・タ・カ・ラ」と一音ずつはっきり発音する「パタカラ体操」は、唇や舌、飲み込みに関わる筋肉を手軽に動かせます。テレビを見ながらでも続けられるので、毎日の習慣に組み込みやすいでしょう。

食事の工夫も欠かせません。やわらかいものばかりを選ばず、適度に噛みごたえのある食材を取り入れ、一口ごとにしっかり噛むことが、噛む力と唾液の分泌をともに保つ近道になります。よく噛んで食べる習慣そのものが、お口のトレーニングになるといえるでしょう。

加えて、お口の関心が薄れることがオーラルフレイルの出発点であった点を思い出してください。定期的に歯科を受診し、お口の状態をプロの目で確認してもらうことが、早期発見と進行予防の両面で大きな支えになります。セルフケアと歯科での専門的なチェックを組み合わせることが、オーラルフレイル対策の基本といえるでしょう。

オーラルフレイルが気になる方は鈴木歯科クリニックへ

鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組んでまいりました。院長は昭和大学歯学部を卒業後、同大学の第2歯科補綴学教室(全部床義歯学)で研鑽を積んだ専門家であり、噛む力や飲み込む力など口腔機能に関わるお悩みにも幅広く対応しております。

「最近むせやすい」「滑舌が気になる」といった初期症状に心当たりのある方や、ご家族のお口の衰えが心配な方は、一度歯科で確認してみるとよいでしょう。当院では患者さま一人ひとりのお口の状態を丁寧に確認し、口腔機能の維持や改善に向けたアドバイスやトレーニングのご提案を行っております。噛む力の低下に入れ歯の不具合が関わっている場合も、補綴を専門とする立場から原因に応じた対応が可能です。

通院が難しい方には訪問歯科診療での対応も可能ですので、ご高齢のご家族の食事や飲み込みでお困りの方もご相談いただけます。オーラルフレイルの初期症状やお口の機能が気になる方は、お電話またはLINEでのご相談からお気軽にお問い合わせください。

 

山形で歯医者・歯科医院をお探しの方は鈴木歯科クリニックにご相談ください。

虫歯治療・歯周病治療・矯正歯科・小児矯正歯科・審美歯科・予防歯科・インプラント・入れ歯などの治療に対応しております。 マイクロスコープ、歯科用CTレントゲンを完備しておりますので、より精密な治療が可能です。

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