食事に時間がかかる原因は?歯科視点でお口の機能と対処法を解説
この記事の監修者

鈴木 喜之(すずき よしゆき)
医療法人社団 鈴木歯科クリニック 理事長・院長
昭和大学歯学部を卒業後、同大学第2歯科補綴学教室(全部床義歯学)に入局。その後、平成8年に山形市にて鈴木歯科クリニックを開院。
「山形という地方でも良質な歯科医療を提供したい」という想いのもと、その場しのぎの治療ではなく「長く健康でいられるための治療」を理念として診療を行う。予防管理をはじめ、マイクロスコープを用いた精密治療やインプラントなど、口腔内全体の健康を長期的にサポートする包括的な歯科診療を提供している。
家族との食卓で自分だけ食べ終わるのが遅い、食事に1時間以上かかってしまう、噛んでも噛んでもなかなか飲み込めない、といったお悩みを抱えている方は、年齢を問わず少なくありません。性格や食習慣の問題と思われがちですが、実はお口の機能やかみ合わせに原因が隠れているケースも少なくありません。
食事のスピードには個人差があり、ゆっくり噛んで食べること自体は健康面でむしろ望ましい側面もあります。ただし、極端に時間がかかる、以前より明らかに遅くなった、食べ疲れてしまうといった変化がある場合には、何らかの原因が背景にあると考えたほうがよいでしょう。
食事に時間がかかる主な原因を歯科の視点から整理し、原因別の対処法、そして見逃してはいけないサインについて解説していきます。
食事に時間がかかるとはどのくらいの状態か
一般的な食事時間の目安は、20分から30分ほどと言われています。よく噛んでゆっくり食べる方でも、おおむね40分程度で食べ終わる場合が多いでしょう。一方で、1時間を超える、あるいは2時間近くかかってしまうとなると、単なる「ゆっくり派」では片付けられない可能性が出てきます。
ここで重要なのは、絶対的な時間の長さだけでなく「以前との比較」という視点です。これまで普通に食べられていたのに最近になって時間がかかるようになった場合、お口の中や全身の状態に変化が起きているサインかもしれません。お子さまであれば成長段階に応じた口腔機能の発達、ご高齢の方であれば加齢に伴う機能の低下といった、年代ごとの背景も関わってきます。
食事に時間がかかる主な原因
かみ合わせに問題がある
食べ物を効率よくすりつぶすには、上下の歯がしっかり噛み合う必要があります。かみ合わせがずれていたり、噛むと痛む歯があったりすると、食べ物を十分に細かくできず、飲み込むまでに時間がかかってしまうでしょう。
虫歯や歯周病で噛むと痛い歯があると、無意識にその歯を避けて片側だけで噛む癖がついてしまうでしょう。片側だけで噛む状態が続くと噛む効率そのものが落ちてしまい、食事全体のスピードに影響してきます。奥歯を失ったまま放置している場合にも、すりつぶす力が大きく低下するでしょう。
お口周りの筋肉や機能が低下している
食べるという動作は、唇で食べ物を取り込み、舌で食塊をまとめ、頬と舌で食べ物を歯の上に乗せ、噛んで飲み込むという一連の連携で成り立っています。この一連の動きに関わる筋肉が弱っていると、噛んだり飲み込んだりするのに余計な時間がかかってしまうでしょう。
ご高齢の方では、加齢に伴って噛む力や飲み込む力が少しずつ衰えていくでしょう。お口の機能がわずかに低下した状態は「オーラルフレイル」と呼ばれ、放置すると低栄養や全身の衰えにつながると指摘されているのです。食事に時間がかかるようになったことは、お口の機能低下を知らせる初期のサインの一つかもしれません。
お子さまの場合は、まだお口の機能が発達途中であることが背景にある場合もあるでしょう。近年は「口腔機能発達不全症」という診断名も知られるようになり、噛む・飲み込むといった機能がうまく育っていないお子さまへの支援が歯科でも行われています。
入れ歯が合っていない
入れ歯を使っている方で食事に時間がかかる場合、入れ歯が合っていないことが原因になっているケースは非常に多く見られます。合わない入れ歯は噛むときに痛みが出たり、ぐらついて安定しなかったりするため、しっかり噛むことができません。痛みを避けようとして噛む回数や力を加減しているうちに、食事がどんどん長引いてしまうのです。
入れ歯はお口の状態に合わせて調整が必要な装置であり、長く使っているうちに合わなくなっていくのは自然なことでしょう。お口の土台となる顎の骨や歯ぐきは年月とともに変化するため、作った当初はぴったりでも、数年経てば緩みやずれが生じてきます。「入れ歯だから多少は仕方ない」と諦めて使い続けている方こそ、一度調整や作り直しを検討する価値があるでしょう。
総入れ歯をお使いの方も、定期的な入れ歯の検診と口腔機能低下症の検査を受けることで、噛む力や飲み込む力を保ちやすくなります。歯が残っていないからこそ、入れ歯の状態やお口まわりの機能を専門家に確認してもらい、良い状態を維持していくことが大切でしょう。定期的に通っていただくことで、合わなくなる前に対応でき、いつまでもご自分の口でおいしく食事を楽しめる状態を目指せます。
鈴木歯科クリニックでは入れ歯(義歯)治療に力を入れており、合わない入れ歯のお悩みにも丁寧に対応しています。
食事内容や食べる環境が影響している
噛む力や機能に問題がなくても、食べ物の形状や大きさが今のお口の状態に合っていないと、食べづらさにつながります。硬すぎる食材、繊維の多い食材、大きすぎる一口は、噛む負担を増やして食事を長引かせる要因になるでしょう。
また、テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食べ」や、食事に集中できない環境も、食べるペースを乱す一因です。会話に夢中になって手が止まる、考えごとをしてしまうといった習慣的な要素も、食事時間が延びる背景として見逃せません。
食事に時間がかかると起こりうること
食事に時間がかかる状態を放置すると、いくつかの影響が考えられます。まず心配されるのが栄養面の問題でしょう。食べるのに疲れてしまい途中で食事をやめてしまうと、必要な栄養が十分にとれなくなる恐れがあります。
さらに、よく噛めないまま飲み込む習慣がつくと、消化器官への負担が増えたり、誤嚥のリスクが高まったりする可能性も指摘されています。お子さまの場合は、噛む習慣が育たないことで顎の発育や歯並びに影響が出ることもあるでしょう。食事のたびに時間がかかること自体が、本人にとっても周囲にとってもストレスとなり、食事の楽しみが失われてしまうのも見過ごせない問題です。
原因別の対処法
かみ合わせや歯の痛みが原因の場合は、まず歯科で虫歯や歯周病の治療を受け、噛める状態を取り戻すことが第一歩になります。失った歯があるなら、入れ歯やそのほかの方法で補うことで噛む効率が改善するでしょう。
お口の機能や筋力の低下が疑われる場合は、歯科で口腔機能の状態を評価してもらうとよいでしょう。ご高齢の方であれば、お口の体操や噛む力を保つためのトレーニングが有効な場合もあります。お子さまであれば、発達段階に合わせた食形態の工夫や、お口の機能を育てる指導が役立つでしょう。
入れ歯が合っていない場合は、調整や作り直しで大きく改善することが期待できます。食事内容や環境が原因と考えられるときは、食材の大きさや硬さを見直し、食事に集中できる環境を整えることから始めてみてください。いずれの場合も、原因を自己判断で決めつけず、一度専門家に相談して原因を見極めることが解決への近道になります。
総入れ歯の方も、定期的な入れ歯の検診と口腔機能低下症の検査を続けることで、噛む力を保ちやすくなるでしょう。
食事の悩みは鈴木歯科クリニックへご相談ください
鈴木歯科クリニックは、山形市南栄町で開業から今年で30周年を迎え、地域の歯科医療に取り組んでまいりました。院長は昭和大学歯学部を卒業後、同大学の第2歯科補綴学教室(全部床義歯学)で研鑽を積んだ入れ歯治療の専門家であり、かみ合わせや入れ歯に起因する食事のお悩みにも幅広く対応しております。
「食事に時間がかかる」という悩みの背景には、かみ合わせ、お口の機能、入れ歯の不適合など、歯科で改善できる原因が隠れている場合が少なくありません。当院では患者さま一人ひとりのお口の状態を丁寧に確認し、原因に応じた治療をご提案いたします。通院が難しい方には訪問歯科診療での対応も可能ですので、ご高齢のご家族の食事でお困りの方もご相談いただけます。
食事の悩みが気になる方は、お電話またはLINEでのご相談からお気軽にお問い合わせください。
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